口約束の契約

将来結婚するつもりで付き合っていたけど、相手の計画性のなさにあきれて、半年ほど前に別れました。

1年ほど前に、彼が自動車事故を起こして、車の修理費がどうしても足りないから、と頼まれ、20万円ほど貸しています。将来結婚するつもりもあったし、借用書を書いてもらおうとは思いませんでした。彼も「ボーナスが入ったら必ず返すから」といっていましたし、催促するのも悪くて、ろくに催促もできませんでした。

別れるときに「あの20万円は早く返してね」と念を押したのですが、携帯の番号を変えたようで連絡も取れません。
借用書などがないと返済してもらえないものでしょうか。     (20代 女性)

                                                 

実際に、こういったご相談はよくあります。

相手との人間関係がうまくいっているうちは、返済されなくても相手を信用しているため何の問題もないのですが、関係にひびが入ったとき、または、ご自身でお金が急遽必要になったときなど、大変困ることになります。

法律上、契約は書面にする必要はなく、互いにお金の貸し借りであって、贈与(もらったもの)ではない、という認識があれば口約束でも金銭貸借契約は成立します。

ここで注意しなければいけないのは、貸すときは結婚するつもりであって、「返さないでもいいよ」などと言ってしまい、相手が「もらった」という認識がある場合、履行された書面によらない贈与は取り消すことが出来ませんので、返済の請求も出来ないことになりますので気をつけてください。

また、裁判するとなると、相手がお金を借りたことを認めなければ、あなたがお金を貸したことを立証しなければならなくなります。そこで、契約書が必要になってくるのです。

契約書は何も書式にのっとったものでなくてもかまいません。当事者と、金額、日付などが確認できるものであれば、証拠となります。
これは貸したときでなければいけないということでなく、後日でかまいません。

どんな親しい人にお金を貸すにしても、必ず書面に残しておきましょう。
公正証書にすれば、かなり安心です。

ちなみに個人間のお金の貸し借りの消滅時効は10年です。10年間法律上の請求をせず放置してあれば、相手が時効を主張した場合、請求権はなくなります。

さて、問題は、証拠もなく、相手が書面にすることを拒んだりしたときです。
何らかの証拠を作らなくてはなりません。

まず、内容証明で返済の請求をしてみましょう。

相手が「今はムリだけど、そのうち必ず返すから」などといってくれば、借金を認めたことになります。内容証明では文書による回答を求めるたほうがいいですね。また、電話などで同様の連絡があった場合、できれば録音しておいたほうがいいでしょう。メールでも証拠となります。

また、「全額は今はないが、1万円ならとりあえず返しておく」などという場合もあると思いますが、そのような場合、領収書を発行し、但し書きに「○月○日 金20万円の金銭消費貸借返還金の内金として」などと書き、署名をもらって控をとっておくのもひとつの方法です。債務はその一部を返済することで「承認」といって、債務の存在を肯定することになります。

ただし、以上は反応のあった場合です。
最悪、まったく無反応ということもあります。

その場合、先に送付した内容証明や、証人などがいればその証言などを証拠に少額訴訟を起こしたほうが早いでしょう。
裁判所では、内容証明も証拠として扱いますし、内容証明による請求を行うだけの理由があった、と見てくれます。

いずれにしても、友人、知人から借金を申し込まれても、できるだけ断わったほうがいいようです。金の切れ目は縁の切れ目、といいます。お金の貸し借りで人間関係が損なわれることはよくあります。どうしても断わりきれない場合、あげたつもりで貸しましょう。その場合でも、何らかの文書を残してください。