協議離婚したが、慰謝料や財産分与を支払わない夫

 今となっては何が原因とは確定できませんが、財産分与と慰謝料は一時金でもらい、養育費は毎月払ってもらうという条件で、協議離婚しました。

 ところが数か月分の養育費を送金してきただけで、財産分与も慰謝料もいまだに支払いません。催促しても「もう少し待ってくれ」の一点張りです。主人の預貯金は知っているつもりですし、払える範囲で妥協しました。
 なんとか払わせる方法はないでしょうか。       (30代  女性)
          

 協議離婚の場合には、どのような合意があっても、法律によって強制的に履行させることはできません。

 強制力のある約束が取り交わされていることが必要です。
  ・当事者が公証人役場にでむいて作成してもらう「公正証書」
  ・家庭裁判所が作成してくれる「調停調書」
  ・地方裁判所が作成してくれる「判決書」「和解調書」
などにしておけば法律的な執行力を発揮します。

 ですから、協議離婚ができる場合でも、金銭の現実の支払が離婚後になる場合には、公正証書を作成しておくか、調停を申し立てて合意内容を調停調書という形で残しておくのが望ましいのです。(調停離婚でも、養育費など何らかの金銭の支払の取り決めがあるのは、全体の半数程度でしかありません。)

 公正証書は、当事者が公証役場に行き契約内容を示して公証人に作成してもらう公的な証書のことです。証書に、「本契約に違反した場合には強制執行をされても異議を申し立てない」という文言の強制執行認諾約款というのをつけておけば、訴訟をすることなく強制執行できます。

 強制執行は、夫の財産(不動産、預金、給与など)を差し押さえて、その中から支払を受けることができます。ただ、強制執行手続きは高度に専門的な手続きですから、弁護士さんに依頼するほうがいいでしょう。弁護士さんに払う費用がない場合には、法律扶助協会に立て替えてもらうこともできます。

 平成16年の4月より、民事執行法が改正されました。

 それまでは、強制執行できるのは未払い分の養育費のみに限られましたので、未払いがあるたびにいちいち強制執行をかけるわけにもいかず、あるていどの金額になるまでまつ必要がありました。しかし、改正執行法により、将来に向けての差押さえもすることができるようになりました。差し押さえる上限も今までは給与の4分の1でしたが、2分の1まで差し押さえることができます。

 平成17年には、支払義務がある養育費を支払わない親に対し、裁判所が制裁金を科すことができるようにもなります。

 今後、離婚にともなう金銭の支払いに関しては、公正証書にしておく必要性がますます高くなってくるでしょう。

 公正証書にしてあるかどうかは別にしても、まずは、内容証明で未払いぶんの請求をしてみましょう。協議内容を公正証書にするように内容証明で請求するのもいいでしょう。

 弁護士さんに頼む前にできることではないでしょうか。



離婚により夫婦の縁は切れますが、親子の縁はどこまでいっても法律的に切ることはできません。親は子に自分と同程度の生活を保証する義務があり、養育費の支払は義務とされています。内容証明で請求する場合、具体的に不払いになっている養育費を特定し、期日を決めて支払いを請求します。支払に応じない場合、給与等を差し押さえる強制執行にふみ切る旨を記載した方がプレッシャーは強くなるでしょう。


                                        
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